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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻5号

1991年10月発行

文献概要

特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅳ.臨床応用薬

健忘症誘発剤/GABA受容体アンタゴニスト

著者: 諸治隆嗣1 笠茂公弘2

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所精神薬理研究室 2日本大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.544 - P.544

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 「概説」
 記憶は,①記銘(memorizing,learning),②保持(retention,storage),③再生(reproduction)または追想(recall),④再認(recognition)の四つの要素から構成されている(行動主義心理学では③や④をretrievalと呼んでいる)。一方,健忘(amnesia)とは一定の事実あるいは一定期間の経験を追想できない状態であって,記銘,保持および再生のうちの少なくとも一つの障害によって生ずると考えられる。
 Benzodiazepine系薬物(BZPs)が臨床的に健忘を誘発することが発見されて以来,動物にそのモデルを求め,BZPsによる健忘の発現機序に関する研究が行われてきた1,2)。ところが,BZP受容体の少なくとも1/3はγ-aminobutyric acid(GABA)A受容体,barbiturate認識部位およびClionophoreと複合体を形成しているので,記憶あるいは健忘とGABA作動系ニューロンとの関連が注目されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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