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特集 神経系に作用する薬物マニュアル Ⅳ.臨床応用薬
拒食症誘発剤
著者: 藤田道也1
所属機関: 1浜松医科大学生化学第2講座
ページ範囲:P.545 - P.548
文献購入ページに移動神経性拒食症と過食症の発病と進行は複雑であり,単一の神経伝達系によるものとは思われない。少なくとも,セロトニン作動系,ドーパミン作動系,アドレナリン作動系,オピオイド作動系が関与している。したがって,これらの受容体に作用する薬物はそれなりの効果をもつことになる(各論参照)。amphetamine投与の急性症状として食欲不振のあることはすでに1938年に知られていた7)。amphetamineの作用機構は外側視床下部のドーパミン受容体ないしβ-アドレノセプターを介するものだと考えられている8)。しかし,さらに最近になって,同部位のセロトニン受容体の関与も示唆されている5)。amphetamineに似た作用をもつmazindolの作用も視床下部のセロトニン系を介するものと考えられている5)。
セロトニン作動性拒食症誘発剤(serotoninergic anorectic)とは5-HT伝達を促進し,かつその拒食効果が5-HT受容体アンタゴニストによって抑制されるものを指す。5-HT,m-CPP,DOI,quipazine,RU-24969などがその例であろう。間接的セロトニンアゴニストと言えるものにセロトニン取り込み阻害剤がある。
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