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文献詳細

雑誌文献

生体の科学42巻6号

1991年12月発行

文献概要

特集 細胞活動の日周リズム

副腎髄質へのアミン取り込みの日周リズム

著者: 平野鉄雄1 永井克也2 板東武彦1 中川八郎2

所属機関: 1新潟大学医学部生理学第一教室 2大阪大学蛋白質研究所代謝部門

ページ範囲:P.600 - P.603

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 視床下部―下垂体―副腎皮質系の活動に日周リズムが存在することはよく知られているが,交感神経―副腎髄質系の日周リズムについての報告はそれほど多くない。血中アドレナリンは,ヒトで夜間に高値を示すが,ノルアドレナリンは日周リズムを示さない1)。血中のドパミンβ-水酸化酵素(DBH)は,交感神経終末からノルアドレナリンとともにexocytosisで血中に放出される2)。このDBHを交感神経活動の指標として,その日内変動を調べた報告によると,ヒトでは午後3時ころに単一のpeakを示す3,4)。これは活動期の後半に,交感神経活動が高まっていることを示している。
 そこで,副腎髄質細胞の機能に日周リズムが存在するかどうかであるが,副腎髄質細胞はチロシンやフェニールアラニンを材料として取り込み,チロシン水酸化酵素(TH),ドパ脱炭酸酵素(DDC),DBH,フェニルエチルアミンN-メチル転移酵素(PNMT)により,ドパミン,ノルアドレナリン,アドレナリンの順で合成される。合成されたこれらのカテコールアミンは,クロム親和果粒に貯蔵される。節前線維終末から放出されたアセチルコリンにより髄質細胞が脱分極され,Caイオンが流入すると開口分泌により放出される。放出されたカテコールアミンは交感神経節後終末や副腎髄質細胞自体に取り込まれ,またモノアミン酸化酵素(MAO),カテコール-O-メチル転移酵素(COMT)によって不活性化される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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