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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻1号

1992年02月発行

特集 意識と脳

夢見と意識

著者: 鳥居鎮夫1

所属機関: 1東邦大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.37 - P.40

文献概要

 夢を見ている人にとって,夢での体験は本当に現実に存在すると思われる。実際には,それは本当でなくて,夢を構成しているイメージと感覚は,その夢を見るずっと前に体験したことが記銘されたものなのだが。このような「幻覚」が起こるのは,夢見睡眠中に,感覚性皮質の興奮によって心像ができるためである。眠っている人は,その興奮を起こす刺激が脳のなかから来ていることを理解できないので,そのイメージが本当であると,すなわち,覚醒時のように,その刺激が外から来ていると解釈するしかない。この「幻覚」は,正常な夢見睡眠の一部分として毎晩規則正しく起こっている。もしこれが覚醒中に起こるならば,精神障害と見なされるだろう。
 こんな不思議なことが眠っている脳で起こっているのだが,最近の脳研究の進歩によって,そのメカニズムが少しずつ解きあかされつつある。ここでは,眠っている脳はどのようにして夢イメージを作りだすのかについての最近の知見を紹介しよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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