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特集 意識と脳
意識の水準
著者: 木谷泰治1
所属機関: 1群馬大学医学部附属病院中央手術部
ページ範囲:P.41 - P.48
文献購入ページに移動 意識という言葉は,日常さまざまな定義のもとに用いられており,立場,観点を異にすると,その意味や内容に多少の違いがみられる.したがって意識の神経生理を論ずること自体に無理がある.しかし臨床的には,意識障害の有無や,その程度を問題にする場合には,意識水準のレベルを具体的に表現した分類が必要となってくる。そこで,ここでは,主観的体験を問題とせず,客観的に観察できる,刺激に対する行動応答の様式からの意識水準について述べることにする。このような意味での意識水準の変化としては,意識とは,自己および環境に対する認知や,働きかけが可能な心の状態であり,睡眠,覚醒の変動とその異常が大きな意味をもつ。とくに,脳波の発見以来,脳波のパターンを指標にしてさまざまな動物実験がなされ,ある程度客観的な意識水準の変化が把握されてきている。しかし,睡眠,覚醒の発現機構におけるさまざまな神経薬理学的な矛盾があらわれており,一言的に説明可能な意識水準の評価法がないことに留意する必要がある。
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