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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻1号

1992年02月発行

文献概要

特集 意識と脳

両半球と意識

著者: 杉下守弘1

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所臨床・社会研究系リハビリテーション研究部門

ページ範囲:P.49 - P.53

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 われわれは通常は外界で起こっていることに気付いている。たとえば,100m先にビルが建っているとか,バスがこちらに向って走ってくるといったことに気付いており,それがどんな意味をもっているかも理解している。また,われわれは自分の内的世界で精神活動が起こっており,それに気付き,それを理解している。たとえば,ずっと会っていない友人に今日の午後に会えるのでうれしい気分であるとか,今,明日の予定を決めているところだといったことに気付いており,それを理解している。意識の定義には種々のものがあるが,外界で起こっている出来事および内界で生じている精神活動に気付きそれを理解している状態を「意識がある」と定義してほぼ間違いないと思われる。なお,内界で,「精神活動が行われる」ということも意識の定義に含意されている。
 意識は大脳と関連が深いとされ,意識と大脳は多くの人々によって論ぜられてきた。大脳と意識の問題を解明する重要な方法の一つは,大脳全体でなく大脳の各部分が意識とどういう関係にあるのかを検討することである。大脳は右半球と左半球から成り立っている。したがって,大脳の部分といえば,まず,右半球と左半球が問題になる。そして,右半球あるいは左半球だけで意識があるのかとか,右半球と左半球の間の連絡が断たれると意識はどうなるのかなど両半球と意識がテーマとなってくる。本稿ではこのテーマについて筆者の研究も含めて論じたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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