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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻1号

1992年02月発行

文献概要

特集 意識と脳

脳と心の二元論の意義

著者: 養老孟司1

所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.64 - P.66

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I.二元論と社会
 「脳と心の二元論」の意義を論ぜよ,というのが私に与えられたテーマである。二元論の意義は社会的には明白であろう。トマス・ヘンリー・ハックスレーと,ウィルバフォース大司教の,進化に関する公開論争以降,西欧においては,教会は「心」,科学は「モノ」と,基本的に科学と教会とがその領域を分け,いわば「棲みわける」ことができたのである。
 もちろん,わが国では事情が違う。最近,私が調べたところでは,日本の哲学者はすべて,人によっては暗黙のうちに心身一元論をとっていると思われる。一元論の一方の極は唯物論であり,他方の極は唯心論である。この国では後者が優越する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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