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実験講座
新しいステレオロジーによる神経細胞密度とシナプス密度の測定法
著者: 福井義浩1
所属機関: 1香川医科大学解剖学講座
ページ範囲:P.77 - P.85
文献購入ページに移動 細胞や組織の微細構造の研究には光学顕微鏡や電子顕微鏡が主要な役割を演じてきた。今日でもその重要性に変わりはない。もちろん光顕像や電顕像は薄い1枚の切片を見ているわけだから,そこからある組織に存在する全構造物をありのまま見ることは不可能である。経験豊かな形態学者は異なった角度や種々の面を通っての多数の切片を観察することで頭の中で立体像を組み立ててきたが,このようにして推定した形は主観的な立体像である。最近,顕微鏡像から立体像を得るのに,連続切片像からコンピュータの助けを借りた立体再構築の手法が用いられているが,この方法は,目的の構造物についての立体像・相互の位置関係を調べるには好都合ではあるが,本稿の目的とは異なる。
医学・生物学の分野においての組織内構造物(以下“粒子”と呼ぶ)の定量化では,何枚かの二次元断面像(光顕像,透過型電顕像)から,実際の生体内での粒子の三次元的状況,すなわち数や大きさの推定を行ってきた。このような場面で,三次元の空間に存在する対象粒子についての種々の計測値をそれより次元の低い二次元像から幾何学的な確率論を用いて推定する方法が,ステレオロジーである。ステレオロジーは形態を定量的に扱う手段(morphometry)の一つであり,「三次元の形態についての幾何学的諸量を,より次元の低い面や線において得られる情報から統計数学を用いて推定する方法論」と定義することができる。
医学・生物学の分野においての組織内構造物(以下“粒子”と呼ぶ)の定量化では,何枚かの二次元断面像(光顕像,透過型電顕像)から,実際の生体内での粒子の三次元的状況,すなわち数や大きさの推定を行ってきた。このような場面で,三次元の空間に存在する対象粒子についての種々の計測値をそれより次元の低い二次元像から幾何学的な確率論を用いて推定する方法が,ステレオロジーである。ステレオロジーは形態を定量的に扱う手段(morphometry)の一つであり,「三次元の形態についての幾何学的諸量を,より次元の低い面や線において得られる情報から統計数学を用いて推定する方法論」と定義することができる。
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