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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻2号

1992年04月発行

文献概要

特集 大脳皮質発達の化学的側面

脳室の発達とNa, K-ATPaseの発現

著者: 柴田太一郎1 太田英彦2

所属機関: 1浜松医科大学病理学第2講座 2浜松医科大学生化学第2講座

ページ範囲:P.120 - P.126

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 脳室系および脊髄中心管が異常な拡大も虚脱も起こさず,胎齢に応じた形態を保ち発達するために,さらに流出した脳室内髄液がmeninx primitivaの細胞間隙を押し広げてクモ膜下腔を形成するために,定常的な髄液の産生とその流出が重要な役割を果たす。しかし胎児期における髄液産生の開始時期と部位については未だ不明の点が多く1,2,4),成熟動物における髄液産生および吸収のパターンをadult patternと仮称すれば,それとは異なるembryonal patternが存在し,胎生期から乳幼児期までに次第に移行していくとの仮説4)も立てられている程である。抗原をペプチド合成して作成したNa,K-ATPaseαサブユニット抗体で,われわれは胎児期の脈絡叢における髄液産生について検討した7,8),Na K-ATPase(以下ATPase)は髄液産生の70~80%に関与するといわれ5),脳では種間の変異が著しく少ない脳型のアイソフォームの存在が知られている10)。ラットにおけるわれわれの検査結果7,8)と,これまでの歴史4)と最近の知見をまとめ1,2,11,12),胎児期における髄液産生の開始時期と産生部位について,脳室の発達と絡めて紹介してみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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