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特集 血管新生
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血管の新生という現象は,いくつかの生物反応の結果が,最終的には血管内皮細胞の増殖を引き起こすことによって終結する。現在までアンジオジェニンなど種々の因子が血管新生を引き起こすことが報告されているが,これらの因子の中で直接血管内皮細胞の増殖を引き起こす因子は少ない。ということは,その他の多くの血管新生因子は実は,血管新生という連鎖反応の最初の段階のトリガーにすぎない。しかも,血管新生のトリガーとしては機械的刺激や蛋白分解酵素などの非特異的因子でもよいのであり,非特異的組織反応として血管新生が引き起こされているか否か判断できない(図1)。ここでは,血管内皮細胞に直接働いてその増殖を促進する作用をもつ生体内ペプチドについて述べる。In vitroで直接血管内皮細胞に働く増殖因子で,かつin vivoで血管新生作用のある因子で同定されたのは数少ない(表1)。その中で,ほとんどはヘパリンに強い親和性を示す因子でheparin binding growth factorsとも呼ばれている。
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