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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻3号

1992年06月発行

特集 血管新生

培養内皮細胞の多様性

著者: 徳永藏1

所属機関: 1佐賀医科大学病理学講座

ページ範囲:P.209 - P.211

文献概要

I.形態の多様性
 1.ヒト大動脈内皮細胞の形態
 培養内皮細胞は形態学的に大きく2種類に分けられる。一つは培養内皮細胞の大部分を占め,直径50~70μm,類円形ないし多角形を示す小型細胞で“典型的内皮細胞”と言われる。この典型的内皮細胞は一層敷石状に増殖し,乳幼児や若年者大動脈およびあらゆる年代の静脈系内皮細胞の大部分を占める(図1)。他はより大型の細胞で直径100~200μmの範囲であるが,稀に250μm以上の巨細胞も混在して見られる。後者は通常2核以上の核を有し,“バリアント内皮細胞”あるいは“非典型的内皮細胞”とも呼ばれる1,2)。成人大動脈の内皮細胞の多くは前述の典型的内皮細胞からなるが,0~30%の割合でバリアント内皮細胞が出現する。その出現頻度は動脈硬化や加齢の程度に従って多くなる。バリアント内皮細胞出現の機序については推測の域を出ないが,この細胞が分裂能を有しないことから,何らかの細胞膜障害のために隣接細胞が癒合して形成されると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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