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特集 血管新生
文献概要
血管の内壁は内皮細胞で裏打ちされており,外側にある基底膜がその極性単層構造を支えている。この基底膜は動脈では平滑筋多重層との,毛細血管では周辺の結合組織との仕切りにもなっている。内皮細胞は時に応じて遊走・増殖して血管内壁を更新・修復して創傷部位,脂肪組織や腫瘍形成組織に侵入して血管網を新生する。これには内皮細胞自体あるいは周辺細胞が分泌するラミニンやⅣ型コラーゲンが重要な働きをする。われわれは内皮細胞が2種類のラミニン複合体を合成し,その量比が血管新生抑制ステロイドによって変動することをウシ大動脈内皮細胞(BAEC)と肺動脈内皮細胞(CPAE)で明らかにした1)。これが見事に無駄を省いた「サブユニットすりかえ機構」によることも示した。ここでは,このステロイド作用を手がかりに血管新生におけるラミニンの役割を考えたい。
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