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連載講座 新しい観点からみた器官
血管―血管新生における内皮細胞・平滑筋細胞相互反応
著者: 居石克夫1
所属機関: 1九州大学医学部第1病理学教室
ページ範囲:P.232 - P.238
文献購入ページに移動主な血管の構成細胞は,内皮細胞と平滑筋細胞である。近年,これらの細胞培養が可能となり,また分子生物学の導入により,これらの細胞が種々の生物活性を有する物質を産生し,血管機能の維持,制御に積極的に関与していることが明らかとなりつつある。とりわけ血管内皮細胞の機能は,表1に示すように,血漿成分の透過性や血液凝固の制御のみならず,血管新生と組織修復,血管壁トーヌスの調節や炎症ならびに免疫反応の調節に関与している。このように,内皮細胞は血管壁細胞のみならず組織の多彩な機能を傍分泌(paracrine),自己分泌(autocrine)により細胞間相互の情報を伝達し合って微小環境を調節,制御している細胞であると言える。
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