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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻3号

1992年06月発行

文献概要

話題

運動と骨格筋の血管新生

著者: 大野秀樹1 山下均1 佐藤昇2 山本三毅夫3 石川睦男4

所属機関: 1防衛医科大学校衛生学 2日本グラクソ㈱筑波研究所分子薬理 3防衛医科大学校第2生化学 4旭川医科大学産婦人科

ページ範囲:P.244 - P.247

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 最近,健康科学の一環として,運動研究が盛んになってきた。筋研究はその大きな比重を占めている。運動により骨格筋が肥大することはよく知られている1)。骨格筋肥大の研究は,神経生理学,免疫組織学,栄養学(エネルギー代謝)などに加え,生化学,分子生物学の最先端の技術も導入され,種々のアプローチが試みられている2)
 一方,筋が肥大するには,酸素と栄養物の供給が不可欠であり,当然,血管新生を伴うはずである。実際,運動により活動筋の毛細管の密度が増し,筋の横断面に占める毛細管の面積も増加する3,4)。筋血流量も,トレーニングにより増大する5)。毛細管密度や筋線維1本当たりの毛細管数の増加は,毛細管間の距離が短くなると同時に,酸素拡散距離も小さくなったことを意味し,筋への酸素供給に非常に有利となる。さらにIngjer6)は,トレーニング効果は遅筋線維であるType Ⅰに顕著で,毛細管数とミトコンドリアの含有量に密接な関係があることを明らかにしている。しかし,運動トレーニングと血管新生の研究は,未だにこのような古典的なレベルに止まっており,筋肥大研究と比較してかなり遅れをとっていることは否定できない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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