icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻3号

1992年06月発行

文献概要

話題

両生類の軸形成とFGF―ツメガエル受精卵へ注入されたbFGF mRNAによる背側および腹側中胚葉の誘導

著者: 浅野美咲1 塩川光一郎1

所属機関: 1東京大学理学部動物学教室分子発生学研究室

ページ範囲:P.248 - P.252

文献購入ページに移動
 イモリの初期胚を用いる発生学研究,とくに胚誘導研究には,ショウジョウバエ,センチュウ,ウニ,メダカ(あるいはゼブラフィッシュ),ニワトリ,あるいはマウスやラットの発生学研究とは明らかに異なる“面白味”がある。それは“マニピュレーション”,あるいは古典的といってよい胚の手術(もっと現代的に表現すると“胚操作”)が楽しめる,ということであろう。このことは,その胚操作によってノーベル賞を受賞したSpemannのオーガナイザー研究をみるまでもなく,すでに明らかなことと思われる。
 ところで,最近の両生類の胚誘導の研究は昔と異なり,主としてツメガエルの胚を用いて行われている。これは胚操作の面白味をこのカエルにおいてとくに発達した遺伝子操作の成果と結びつけた結果である。ツメガエルの中期胞胚の動物極側の約1/3の細胞群(以下,アニマルキャップ)をアッセイ系として行われるこの中胚葉誘導機構の研究は,Spemann以来の古典的なこの分野の研究の様相を一変させてしまったといえそうである。今や中胚薬誘導の研究は,“発生学のルネッサンス”ともいわれるほどの活力をもって,一方では両生類胚を用いるこの分野の研究者に,他方ではそれまではもっぱら培養細胞を用いてきた成長因子あるいは原癌遺伝子の研究者たちに,尽きない興味と興奮を提供しているように思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら