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両生類の軸形成とFGF―ツメガエル受精卵へ注入されたbFGF mRNAによる背側および腹側中胚葉の誘導
著者: 浅野美咲1 塩川光一郎1
所属機関: 1東京大学理学部動物学教室分子発生学研究室
ページ範囲:P.248 - P.252
文献購入ページに移動ところで,最近の両生類の胚誘導の研究は昔と異なり,主としてツメガエルの胚を用いて行われている。これは胚操作の面白味をこのカエルにおいてとくに発達した遺伝子操作の成果と結びつけた結果である。ツメガエルの中期胞胚の動物極側の約1/3の細胞群(以下,アニマルキャップ)をアッセイ系として行われるこの中胚葉誘導機構の研究は,Spemann以来の古典的なこの分野の研究の様相を一変させてしまったといえそうである。今や中胚薬誘導の研究は,“発生学のルネッサンス”ともいわれるほどの活力をもって,一方では両生類胚を用いるこの分野の研究者に,他方ではそれまではもっぱら培養細胞を用いてきた成長因子あるいは原癌遺伝子の研究者たちに,尽きない興味と興奮を提供しているように思われる。
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