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特集 細胞機能とリン酸化
微小管結合タンパク質(MAPs)のリン酸化
著者: 室伏擴1
所属機関: 1東京大学理学部生物化学教室
ページ範囲:P.281 - P.289
文献購入ページに移動 微小管は真核細胞に普遍的に存在する,外径約25nmの細長い管状構造体である。微小管は,細胞骨格の一員として細胞の形態の形成や維持に関与し,また,染色体の分配,繊毛や鞭毛の運動,軸索輸送などの細胞運動において中心的役割を担う1)。微小管の管壁はチューブリン(tubulin)と呼ばれる球状タンパク質が重合することによって形成されており,これに,種々のタンパク質が結合している。これらの非チューブリンタンパク質は,微小管結合タンパク質(microtubule-associated proteins,MAPs)と総称される2-4)。MAPsは,狭義のMAPs(構造的MAPsとも呼ばれ,微小管の安定化に関わる)と,微小管依存性モータータンパク質(微小管をレールとした細胞運動に関わる)5-8)とに分類される。本稿では前者について述べ,以下,単にMAPsという場合,構造的MAPsを指すものとする。
チューブリンの一次構造が,生物種間,細胞種間でよく保存されているのに対し,MAPsは細胞によって多様性に富んでいる。微小管の機能の多様性は,主としてMAPsのこの多様性によるものと考えられる2,4)。MAPsはチューブリンの重合を促進し,形成された微小管に結合してそれを安定化させる。
チューブリンの一次構造が,生物種間,細胞種間でよく保存されているのに対し,MAPsは細胞によって多様性に富んでいる。微小管の機能の多様性は,主としてMAPsのこの多様性によるものと考えられる2,4)。MAPsはチューブリンの重合を促進し,形成された微小管に結合してそれを安定化させる。
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