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特集 細胞機能とリン酸化
血小板活性化における蛋白質チロシンリン酸化反応
著者: 朝日百百代1 山村博平2
所属機関: 1福井県立短期大学 2福井医科大学第2生化学教室
ページ範囲:P.290 - P.295
文献購入ページに移動血小板は,骨髄巨核球からの分化した無核の増殖機能を持たない細胞で,血管内で種々の生理的刺激により活性化されると,速やかに変形,粘着,放出および凝集反応が起こり,血栓形成という細胞機能を発揮する。血栓形成に至るまでの生化学的変化としては,まず生理的刺激が細胞膜受容体に作用すると,GTP結合蛋白質を介してホスホリバーゼC(PLC)によるイノシトールリン脂質の加水分解が起こり,1,2-ジアシルグリセロール(DG)およびイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)が生成され,その結果Cキナーゼの活性化および細胞内Ca2+の動員がそれぞれ引き起こされる。そして,その細胞内Ca2+上昇に伴い,種々のCa2+依存性の酵素が活性化し,カルシウムシグナルを介した酵素反応―そのうちの一つとして,Ca2+-カルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)によるリン酸化反応―が起こり,放出および凝集反応が生じると考えられている。
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