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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻4号

1992年08月発行

文献概要

特集 細胞機能とリン酸化

血小板活性化における蛋白質チロシンリン酸化反応

著者: 朝日百百代1 山村博平2

所属機関: 1福井県立短期大学 2福井医科大学第2生化学教室

ページ範囲:P.290 - P.295

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 個々の細胞は,細胞膜を介して細胞外の環境とは異なる独自のシグナルを形成し,細胞外からの刺激を細胞内へ伝達し,細胞機能を発現している。細胞が外部刺激に応答して分泌,増殖,分化などの機能を発現するためには,細胞内で種々の生化学的反応を伴った情報伝達が自律的に秩序化されていると推察される。
 血小板は,骨髄巨核球からの分化した無核の増殖機能を持たない細胞で,血管内で種々の生理的刺激により活性化されると,速やかに変形,粘着,放出および凝集反応が起こり,血栓形成という細胞機能を発揮する。血栓形成に至るまでの生化学的変化としては,まず生理的刺激が細胞膜受容体に作用すると,GTP結合蛋白質を介してホスホリバーゼC(PLC)によるイノシトールリン脂質の加水分解が起こり,1,2-ジアシルグリセロール(DG)およびイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)が生成され,その結果Cキナーゼの活性化および細胞内Ca2+の動員がそれぞれ引き起こされる。そして,その細胞内Ca2+上昇に伴い,種々のCa2+依存性の酵素が活性化し,カルシウムシグナルを介した酵素反応―そのうちの一つとして,Ca2+-カルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)によるリン酸化反応―が起こり,放出および凝集反応が生じると考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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