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文献概要
インスリンが細胞膜上のインスリン受容体と結合すると,その情報が細胞内に伝達され細胞内で様々な生体反応を引き起こす。このインスリンの細胞内への情報伝達の機構の解明には数々の研究がなされ多くの仮説がたてられてきたが,まだ全体像を得るには至っていない。インスリンが受容体に結合後,細胞内では多くの酵素やタンパク質のリン酸化の量が変化し酵素の活性が変わることが知られている(表1)。このことからリン酸化が,インスリンの情報伝達に何らかの役割をはたしていると考えられてきた。1982年に,インスリン受容体自身がチロシンキナーゼ活性を持つこと,またそのチロシンキナーゼがインスリンの結合によって自己リン酸化され活性化することが発見されて1),インスリン情報伝達におけるリン酸化カスケードの存在の可能性に注目が集まってきたla)。
インスリン受容体のcDNAのクローニングや,部位限局性変異によって,受容体の構造や機能がわかってきた(図1)。受容体のチロシンキナーゼ領域を変異させ自己リン酸化を阻害するとインスリンの生物活性が現れないことから自己リン酸化やチロシンキナーゼの活性がインスリンの情報伝達機構に必須であると考えられてきた。
インスリン受容体のcDNAのクローニングや,部位限局性変異によって,受容体の構造や機能がわかってきた(図1)。受容体のチロシンキナーゼ領域を変異させ自己リン酸化を阻害するとインスリンの生物活性が現れないことから自己リン酸化やチロシンキナーゼの活性がインスリンの情報伝達機構に必須であると考えられてきた。
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