文献詳細
文献概要
特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅰ.上皮細胞株 皮膚系細胞 メラノーマ細胞
ヒト:HMV-Ⅱ
著者: 春日孟1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部病理学第二講座
ページ範囲:P.361 - P.362
文献購入ページに移動 ■樹立の経緯
ヒト黒色腫細胞株樹立の目的:
1963年9月に南カリフォルニア大学医学部病理学教室でH. B. Demopoulas準教授と共にB-16系マウス悪性黒色腫を用いてメラニン顆粒の電顕的初期形態像およびメラニン生成の場の解析を行った。帰国後もその研究を継続する目的で,B-16メラノーマ担癌マウスを故清寺真教授と石川喜一教授のお骨折りで,ハーバード大学皮膚科を通して空輸してもらい,B16-1,-XI,-Wの各細胞株を寺島東洋三博士の協力で樹立し,メラニン生合成の超微構造の研究および放医研での癌の中性子および粒子線治療の研究に用いられ,放射線抵抗性腫瘍の機序の解析が行われた。さらにヒトのメラノーマ細胞株を使用する必要性が生じたが,当時発表論文に用いられていたヒト由来悪性黒色腫細胞のすべての株はメラニン合成能を失ったものであったので入手を諦めざるを得なかった。丁度運よく癌研病院でヒトの悪性黒色腫症例の病理診断のコンサルトを受け,手術材料を入手し得たので,継代培養株の樹立を放医研の野尻イチ技師の協力を得て試み,成功した(HMV株)。
樹立までの過程:
1969年,65歳女性(血液型はB型)の腟上部後側壁の粘膜領域に発生した2.0×2.0×2.5cm大の灰白色部分を含むメラニン産生性黒色の悪性黒色腫を用いた。原発巣の組織学的所見はメラニン色素の生合成の盛んな類上皮細胞型悪性黒色腫である。
ヒト黒色腫細胞株樹立の目的:
1963年9月に南カリフォルニア大学医学部病理学教室でH. B. Demopoulas準教授と共にB-16系マウス悪性黒色腫を用いてメラニン顆粒の電顕的初期形態像およびメラニン生成の場の解析を行った。帰国後もその研究を継続する目的で,B-16メラノーマ担癌マウスを故清寺真教授と石川喜一教授のお骨折りで,ハーバード大学皮膚科を通して空輸してもらい,B16-1,-XI,-Wの各細胞株を寺島東洋三博士の協力で樹立し,メラニン生合成の超微構造の研究および放医研での癌の中性子および粒子線治療の研究に用いられ,放射線抵抗性腫瘍の機序の解析が行われた。さらにヒトのメラノーマ細胞株を使用する必要性が生じたが,当時発表論文に用いられていたヒト由来悪性黒色腫細胞のすべての株はメラニン合成能を失ったものであったので入手を諦めざるを得なかった。丁度運よく癌研病院でヒトの悪性黒色腫症例の病理診断のコンサルトを受け,手術材料を入手し得たので,継代培養株の樹立を放医研の野尻イチ技師の協力を得て試み,成功した(HMV株)。
樹立までの過程:
1969年,65歳女性(血液型はB型)の腟上部後側壁の粘膜領域に発生した2.0×2.0×2.5cm大の灰白色部分を含むメラニン産生性黒色の悪性黒色腫を用いた。原発巣の組織学的所見はメラニン色素の生合成の盛んな類上皮細胞型悪性黒色腫である。
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