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特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅰ.上皮細胞株 皮膚系細胞 乳腺上皮細胞
マウス乳癌:SC-3
著者: 佐藤文三1
所属機関: 1大阪大学医学部第三内科
ページ範囲:P.366 - P.366
文献購入ページに移動 ■樹立の経緯
男性ホルモンが前立腺癌などの標的臓器癌の増殖を促進することは古くから知られていたが,その分子機構を検討するための細胞株はほとんど存在しなかった。一方,シオノギ製薬研究所の峰下・山口は,自然発生マウス乳癌をDSマウスの皮下に継代移植し,雄マウスでの増殖可能なShionogi Carcinoma 115(SC 115)を樹立した。この腫瘍は,下垂体摘出マウスでも男性ホルモンを投与するのみで増殖可能であった。後に非生理的な大量グルココルチコイド投与にても,この腫瘍は増大することも判明した。そこでわれわれは,この腫瘍からの培養細胞株の樹立を試みた。
男性ホルモン刺激下で増殖してきた腫瘍塊を細切し,collagenase(Sigma type Ⅳ,0.5mg/ml)とtrypsin(0.1mg/ml)で消化し,浮遊細胞を作製した。この細胞を2~10%FCS-MEM+10-8M testosterone中で培養を行った。20代継代培養を行った後,限界希釈法によりクローニングを行った1)。このうちの一つをSC-3細胞と命名した(SCはShionogi Carcinomaの略である)。
男性ホルモンが前立腺癌などの標的臓器癌の増殖を促進することは古くから知られていたが,その分子機構を検討するための細胞株はほとんど存在しなかった。一方,シオノギ製薬研究所の峰下・山口は,自然発生マウス乳癌をDSマウスの皮下に継代移植し,雄マウスでの増殖可能なShionogi Carcinoma 115(SC 115)を樹立した。この腫瘍は,下垂体摘出マウスでも男性ホルモンを投与するのみで増殖可能であった。後に非生理的な大量グルココルチコイド投与にても,この腫瘍は増大することも判明した。そこでわれわれは,この腫瘍からの培養細胞株の樹立を試みた。
男性ホルモン刺激下で増殖してきた腫瘍塊を細切し,collagenase(Sigma type Ⅳ,0.5mg/ml)とtrypsin(0.1mg/ml)で消化し,浮遊細胞を作製した。この細胞を2~10%FCS-MEM+10-8M testosterone中で培養を行った。20代継代培養を行った後,限界希釈法によりクローニングを行った1)。このうちの一つをSC-3細胞と命名した(SCはShionogi Carcinomaの略である)。
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