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特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅰ.上皮細胞株 消化器系上皮細胞 口腔・舌扁平上皮細胞
ヒト舌扁平上皮癌:LMF 4
著者: 根岸明秀1
所属機関: 1東京医科歯科大学歯学部口腔外科学第1講座
ページ範囲:P.367 - P.368
文献購入ページに移動 ■樹立の経緯
癌患者の死因には転移が直接あるいは間接的にかかわっていることは明らかである。頭頸部悪性腫瘍の80%以上を占める扁平上皮癌では,顎下および頸部リンパ節へ転移する傾向がある。これまで血行性転移を示す種々の悪性腫瘍細胞株が報告されているが,リンパ行性転移を示す扁平上皮癌細胞株の報告はみられない。したがってヒト口腔扁平上皮癌由来細胞を用いてリンパ系転移モデルの作製を目的として細胞株のスクリーニングを行った。
当科で樹立したHSC-3は,舌扁平上皮癌患者の中深頸リンパ節転移巣より採取した腫瘍組織から得られた細胞株である。HSC-3は,in vitro, in vivo において強度の浸潤性を有する発育様式を示し,さらにヌードマウス背部皮下へ接種したところ,腋窩リンパ節への転移が認められた(図1)。この転移巣から分離培養した細胞株をLMF1とした。さらに同様の操作を繰り返したところ,腋窩および鼠径リンパ節への転移能が増加した。3回目の操作により得られた細胞株LMF4では,ヌードマウス8匹中6匹においてリンパ節への転移が認められたが,さらに操作を繰り返したLMF5ではリンパ節転移は減少し,肺転移巣を形成する性質を獲得した1)。
癌患者の死因には転移が直接あるいは間接的にかかわっていることは明らかである。頭頸部悪性腫瘍の80%以上を占める扁平上皮癌では,顎下および頸部リンパ節へ転移する傾向がある。これまで血行性転移を示す種々の悪性腫瘍細胞株が報告されているが,リンパ行性転移を示す扁平上皮癌細胞株の報告はみられない。したがってヒト口腔扁平上皮癌由来細胞を用いてリンパ系転移モデルの作製を目的として細胞株のスクリーニングを行った。
当科で樹立したHSC-3は,舌扁平上皮癌患者の中深頸リンパ節転移巣より採取した腫瘍組織から得られた細胞株である。HSC-3は,in vitro, in vivo において強度の浸潤性を有する発育様式を示し,さらにヌードマウス背部皮下へ接種したところ,腋窩リンパ節への転移が認められた(図1)。この転移巣から分離培養した細胞株をLMF1とした。さらに同様の操作を繰り返したところ,腋窩および鼠径リンパ節への転移能が増加した。3回目の操作により得られた細胞株LMF4では,ヌードマウス8匹中6匹においてリンパ節への転移が認められたが,さらに操作を繰り返したLMF5ではリンパ節転移は減少し,肺転移巣を形成する性質を獲得した1)。
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