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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻5号

1992年10月発行

文献概要

特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅰ.上皮細胞株 消化器系上皮細胞 肝細胞

ヒト肝癌:HuH-7

著者: 松田広一1

所属機関: 1徳島大学酵素科学研究センター酵素病理学部門

ページ範囲:P.382 - P.382

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 ■樹立の経緯
 ヒト肝癌由来の株細胞としてHuH-6,PLC/PRF/5,Hep 3B,huH-1,およびhuH-4など多くのものが樹立されてきた。これらの細胞株は肝臓の分化機能を維持しているものであるが,その増殖には血清などの不純な添加物を培地に加える必要がある。しかし正常肝細胞におけるホルモンや増殖因子の単独あるいは複数の相互作用をin vitroで検討するうえでは,このような成分が特定できない物質の添加は極力避けたいものである。そこで以上のような問題を克服するために高い分化機能を維持し,かつ成分が化学的に定義された培地での培養が可能な本細胞株が樹立された。
 1979年,中林,佐藤らは分化度の高い原発性肝細胞癌を57歳の日本人男性から外科的に摘出し,20%ウシ血清,0.4%ラクトアルブミン水解物(LAH)添加RPMI1640培地にて28日間培養して上皮細胞性コロニーを単離した。この細胞を培養198日目(10回継代)に無血清PRMI1640培地(0.4% LAH含有)に移したところ,血清含有培地中よりも増殖性が高まり,培養352日目にHuH-7細胞として確立された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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