icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻5号

1992年10月発行

文献概要

特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅰ.上皮細胞株 泌尿生殖器系上皮細胞 腎上皮細胞

アフリカミドリザル:Verots S3

著者: 大野忠夫1

所属機関: 1理化学研究所細胞銀行

ページ範囲:P.404 - P.404

文献購入ページに移動
 ■樹立の経緯
 1988年12月20日,理化学研究所細胞銀行では,獨協医大・安村美博教授より,ビオチンを添加さえすればMEM培地のみで増殖できる細胞株Vero-317の寄託を受けた。この細胞はアフリカミドリザル腎由来の著名なVero糸細胞から選択されたものである。その上,Vero-317はMEM中のglutamineをglutamic acidに代えても,ゆっくりながら増殖可能で,そのため,培地全体をそのままオートクレーブにかけられる培地に変換できるという,従来のバイオテクノロジーでの生産用細胞として使用されている著名な細胞群にはない,注目すべき特微があった。
 一方,COS-1細胞は,SV 40ウイルスDNAのうち複製開始点を欠落させたDNAを組み込んだプラスミドを,サル腎臓由来のCV-1細胞株にトランスフェクトし,染色体に安定的に組み込まれた細胞株として選択されたものである。この細胞の最大の特微は,組み込まれたSV 40遺伝子から,強いDNA複製促進因子であるlarge T抗原が多量産生されるが,ウイルスDNAの複製開始点がないため,ウイルス自身は産生されない点にある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?