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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻5号

1992年10月発行

文献概要

特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅰ.上皮細胞株 泌尿生殖器系上皮細胞 子宮上皮細胞

ヒト子宮頸癌:HeLa

著者: 安光英太郎1

所属機関: 1横浜市立大学木原生物学研究所

ページ範囲:P.409 - P.409

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 ■樹立の経緯1)
 最初のヒト由来の癌細胞株でGoerge Otto Geyにより1951年に樹立された。癌組織と正常組織由来の細胞を培養し,それらを比較することにより,癌細胞の特性を明らかにすることができるであろう,という予想に基づき樹立のための培養が試みられた。命名に関して種々説があるが,患者の名前Henrietta Lacksの2文字を取って名付けたとされている。黒人婦人の子宮癌由来で,原発巣は,当初表皮様癌とされたが,後日の再検査で子宮頸部癌としては珍しい腺癌と訂正された。子宮頸部癌の生検サンプルを出発材料とし,最初1年間はニワトリ血漿,ウシ胎児抽出液,ヒト臍帯血清を含む凝固血漿培地中で継代培養された。その後,1952年にニワトリ胚抽出液,ヒト血漿を含むハンクス液を用いた単層培養に移された系統が,現在のHeLa細胞の原型であるとされる。この細胞は,凍結保存に成功した最初の細胞株でもあり,ATCC(後述)が保存するHeLa原株は当時の原株に近いとされる。種々のクローン,変異株が存在するが,以下にはもっともよく用いられているHeLa-S3細胞を中心に述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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