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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻5号

1992年10月発行

特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉

Ⅲ.間葉系細胞株 白血球系細胞 赤血球

マウス赤白血病:MEL

著者: 帯刀益夫1

所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所細胞生物学部門

ページ範囲:P.486 - P.486

文献概要

 ■樹立の経緯
 フレンドウイルス感染マウスは赤芽球前駆細胞の増殖により脾臓が肥大する。フレンドウイルスには貧血症発症型と多血症発症型があり増殖促進が起きる前駆細胞の性状に相異が見られる。フレンドウイルス感染の初期過程では前駆細胞の増殖の促進が見られ,ついで細胞の癌化が起きるものと思われる。このフレンドウィルス感染により増殖状態になった脾臓由来細胞を培養などに移し,継代し樹立されたのがMEL(murine erythroleukemia:マウス赤白血病),あるいはフレンド白血病細胞である。
 MEL細胞は培養系にジメチルスルホキシドなどの分化誘導剤を添加するとヘモグロビンを産生し赤血球方向へと分化することがわかり,赤芽球前駆細胞がトランスフォームしていることがわかった。細胞の樹立は,C. Friend(DBA2マウス),W. Ostartag(DBA2マウス),井川洋二(CDDマウス)により多血症型フレンドウイルス感染脾細胞から樹立され,それぞれ,クローン707,クローンB8/3,クローンT3C12などと命名された。またT. Makにより貧血症型フレンドウイルス感染脾細胞から樹立された細胞はTSA8株と呼ばれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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