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特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅲ.間葉系細胞株 白血球系細胞 末梢血・リンパ球
ATL:MT-1
著者: 三好勇夫1
所属機関: 1高知医科大学第三内科
ページ範囲:P.488 - P.488
文献購入ページに移動起源の組織は末梢血ATL(adult T-cell leukemia)細胞。樹立者は三好勇夫。樹立の目的はATLの本態解明。
樹立までの過程:1978年7月27日に69歳の男性ATL患者から末梢血10mlを採血し培養に用いた。この時の患者の白血球数は45,000/μlで,69%の異常リンパ球を認めた。デキストラン法で分離した白血球を5×106/mlの細胞数とし,直径35mmのペトリシャーレに入れ,RPMI1640に10%ウシ胎児血清と10%ヒト臍帯血清を加えた培養液を用いて37℃,5%CO2孵卵器内で培養した。培養液半量を週2回交換した。2ヵ月後にシャーレに付着しているマクロファージが減少するにつれてリンパ球の増殖が悪くなった。そこで女児の臍帯白血球を10~14日間培養して出現してきたマクロファージのfeeder layer上に培養リンパ球を移した。さらに2ヵ月後に細胞増殖が旺盛となり,以後2~3日毎にマクロファージのfeeder layerなしに継代培養可能となった。この細胞株を患者田○美○男のイニシャルと三好T細胞の両方の意味をこめてMT-1と命名した1,2)。
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