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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻5号

1992年10月発行

文献概要

特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅳ.筋細胞株 横紋筋細胞

ウズラ胚筋芽細胞:QM-RSV

著者: 金在萬1

所属機関: 1京都薬科大学生命薬学研究所

ページ範囲:P.498 - P.498

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 ■樹立の経緯
 骨格筋筋芽細胞は,初代培養細胞あるいは株化細胞を問わず,その分化形質をよく保持し,in vitroで筋管形成を経て筋線維へと分化することから,骨格筋形成機構をはじめ細胞分化における遺伝子の発現制御機構解析のモデル実験系としてよく用いられる。この場合細胞はラット由来のL6細胞に代表される株化細胞とニワトリ胚筋芽細胞由来の初代培養筋芽細胞がよく用いられる。それぞれ長所短所はあるが,後者は細胞を調製するとほとんど一方的に分化が進みその反応を制御することは難しい。そこで温度によって分化反応を制御する目的で温度感受性ラウス肉腫ウイルス(ts-RSV)で形質転換して用いることが多い。ts-RSVで筋芽細胞の形質転換を初めて試みたのはHoltzerらのグループであるが,Fiszman1)やMoss2)らによってその性格づけがなされた。RSVによる形質転換にウズラ胚筋芽細胞がよく用いられるのは,ニワトリのそれと違って,RSVがウズラ胚細胞では粒子形成されず,実験時の安全性を考慮したためと思われる。
 われわれは10日目のウズラ胚胸筋を常法通りトリプシンおよびEDTAで処理して筋芽細胞を調製している。こうして得た細胞は筋芽細胞に特徴的な紡錘形を呈し,培養を続けると1日後から融合がみられ速やかに筋管を形成する。この分化反応を一時的に抑えることは難しい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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