icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻5号

1992年10月発行

文献概要

特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉 Ⅶ.その他の細胞株 遺伝病由来細胞

家族性高コレステロール血症(FH)

著者: 三宅康子1 山本章1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所病因部

ページ範囲:P.538 - P.539

文献購入ページに移動
 LDL(low density lipoprotein,低比重リポ蛋白)レセプターは,細胞表面膜上に存在しており,血中のコレステロール・キャリアであるLDLを末梢細胞に取り込ませる役割を果している。LDLレセプター遺伝子に変異の起きた疾患が家族性高コレステロール血症(FH;familial hypercholesterolemia)であり,患者ではLDLレセプターが欠損ないしは,存在していても正常に機能しないために血中のLDLが処理されずに高LDL(=高コレステロール)血症を呈する。LDLレセプターは,ほとんどすべての細胞,組織に発現しているので,培養が容易な線維芽細胞がLDLレセプターの研究に有用である。
 FHにおけるLDLレセプター変異には種々のタイプのものが知られており,大きく分けて次のようなものがある。①レセプター蛋白の合成過程が障害されているもの,②小胞体で合成されたレセプター前駆体が修飾の場であるゴルジ体へ移行できないために,前駆体から成熟体へのプロセッシング過程が障害されているもの,③レセプターのLDL結合能が障害されているもの,④LDLを細胞内に取り込む過程が障害されているもの,⑤レセプターの細胞表面への再出現(リサイクリング)が障害されているものなどがある。私たちはこれら各タイプの患者より線維芽細胞を培養(初代培養)し保存しているが,これらの中で代表的なものについて述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?