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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻6号

1992年12月発行

文献概要

特集 成長因子受容体/最近の進歩

TGFβ受容体のサブタイプとシグナル伝達

著者: 安井弥1 田原榮一1

所属機関: 1広島大学医学部第1病理教室

ページ範囲:P.596 - P.599

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 TGFβは,元来,非腫瘍性線維芽細胞であるNRK細胞の軟寒天培地での増殖を促進する物質として見出されたが,その後の研究により,様々な細胞の増殖・分化を制御する物質であることが明らかになってきた1)。すなわち,上皮系細胞,内皮細胞あるいは血液幹細胞などに対しては増殖抑制因子として働く一方で,胚発生の誘導,細胞外基質の産生,骨・軟骨形成に関しては促進的に調節している2)
 TGFβは,分子量25,000のダイマー構造をとる蛋白であり,ヒトではそれぞれ約70%の相同性を有するTGFβ1-3の3種類が存在する1)。TGFβ1では,2.5Kb mRNAから390個のアミノ酸よりなる前駆体としてつくられ,ダイマーが形成された後にN端が切断され,112個のアミノ酸のダイマーである成熟型となる3)。一方,TGFβ受容体は,ヨード標識されたTGFβ1を用いたアフィニティーラベル法による検討から,Ⅰ型からⅢ型の3種類の存在が明らかにされている4)。TGFβ受容体の分子量は,Ⅰ型,Ⅱ型,Ⅲ型それぞれで,約55KDa,65~80KDa,260~300KDaであり,Ⅰ型とⅡ型は糖蛋白,Ⅲ型はプロテオグリカンといわれていたが,最近,Ⅲ型およびⅡ型受容体が相次いでクローニングされた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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