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文献詳細

雑誌文献

生体の科学43巻6号

1992年12月発行

文献概要

解説

脳由来神経栄養因子(BDNF)研究の最近の進展

著者: 野々村健1 畠中寛1

所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所生合成部門

ページ範囲:P.616 - P.625

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 この論考では,脳神経系においてその構築と維持に必須の役割を果たしている神経栄養因子と呼ばれる蛋白質を扱うことにする。この蛋白質は,神経細胞の生存と分化に大きく関与している液性因子として細胞の外から働くことが知られている。
 神経成長因子(nerve growth factor;NGF)はもっとも古くから研究されてきた代表的な神経栄養因子である1,2)。NGFをはじめとする神経栄養因子の研究は,ここ数年大きな進展を見せている。その一つにNGFファミリー蛋白質としての脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor;BDNF),ニューロトロフィン-3(neurotrophin-3;NT-3),NT-4,NT-5の発見と,trkチロシンキナーゼファミリーがそれらの機能的受容体を構成していることの発見が挙げられる。本稿では,新展開を迎えている神経栄養因子研究の中でBDNFに焦点を当て,これまでに行われた研究経過をまとめ,脳神経科学における課題の中で果たしている役割について述べてゆきたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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