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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻1号

1993年02月発行

解説

骨格筋における種々の筋線維間連結

著者: 土方貴雄1

所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.59 - P.65

文献概要

Ⅰ.はじめに
 最近に至るまで,骨格筋内での筋線維構築については殆ど注目されていなかった。その証拠に,解剖学,組織学の教科書をみると,“筋内での各筋線維は30cm以上にわたる1)”,“縫工筋のように両端が先細りにならない平行筋においては,筋線維は明らかに筋の全長にわたり,途中で終わることなしに連続している2)”と記載されている。それでは,クジラやゾウの骨格筋では,1m以上の筋線維がみられるというのだろうか?
 文献を過去に遡ってみると,今世紀初めに,Bardeen3)が,イヌ,ネコ,ヒトの側腹筋において,筋束内に終わる短い筋線維を見出している。その後,Huber4)は,ウサギの後肢筋で短い筋線維による構築を詳しく記載し,2.5cm以上の長さをもつ筋では,筋束内に終わる短い筋線維からなることに注目した。またAdrian5)も,ネコのM. tenuissimusが1.7cm前後の短い筋線維からなっており,これらが重ね合うように連結し筋束を作っていることを示している。しかしながら,1930年以降最近に至るまで,骨格筋が筋束内に終わる短い筋線維から構築されていることを報告する論文は突発的に出されるに過ぎなかった6)。ようやく1980年代後半になって,脊椎動物の様々な骨格筋で,筋束内に終わる短い筋線維が見出され7-15),これら短い筋線維による骨格筋構築が例外的なものでないことが認知されるに至った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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