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特集 蛋白質の細胞内転送とその異常
微細形態学から見た細胞内転送の諸問題―分泌蛋白質の細胞内輸送の初期過程を中心に
著者: 田代裕1 山本章嗣1 吉森保1
所属機関: 1関西医科大学第一生理学教室
ページ範囲:P.80 - P.89
文献購入ページに移動細胞内には種々の細胞内小器官が存在し,細胞は多くの複雑な区画(コンパートメント)に細分されている。蛋白質の大部分は細胞質区画に存在するリボソームにおいて合成され,それぞれ特定の区画に転送され,そこで機能を営む(蛋白合成後の細胞内局在化)。さらに種々のペプチドホルモン受容体,グルコース輸送体のように,細胞内での局在を変えつつ機能を営む蛋白質もある(機能発現に伴う局在化)。最後に蛋白質が分解される過程でも,特定の区画への細胞内転送が関与する場合が多い(分解過程での局在化)。ここでは第一の蛋白合成後の分泌蛋白質の転送のみに話を限定したい。
蛋白質の細胞内転送を研究するためには,現在3つの方法が用いられている。その第1は生化学・分子生物学的方法である。細胞分画法を用いたり,あるいは新生ペプチド鎖やN型糖鎖のプロセッシングの進行の度合いなどによって細胞内転送された場所を推定することが出来る。In vivo,培養細胞,再構成系など種々の系を用いて実験が行われているが,最近では透過細胞(permeabilized cell)を用いた再構成系が開発され,細胞内輸送の分子機構の解明に威力を発揮している。さらに改変遺伝子を細胞に導入し,合成された異常蛋白質の挙動から選別シグナルを決定したり,細胞の機能を推定する方法が一般的によく用いられるようになった。
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