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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻2号

1993年04月発行

文献概要

特集 蛋白質の細胞内転送とその異常

LDL受容体の転送と病態:家族性高コレステロール血症

著者: 三宅康子1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所病因部

ページ範囲:P.129 - P.134

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I.LDLレセプターの動態と機能
 LDL(low density lipoprotein)は血中の主要なコレステロール・キャリアー蛋白質であるが,血中より細胞へのLDLの取り込みは,細胞表面膜上に存在するLDLレセプターを介して行なわれる。LDLレセプターを媒体として細胞内にLDLが取り込まれる過程はreceptor-mediated endocytosisと呼ばれている1,2)(図1)。
 LDLレセプターはLDL粒子中のアポ蛋白質B-100を認識して結合する。LDLレセプター複合体は,細胞表面上のクラスリンで裏打ちされたくぼみ(coated pit)に濃縮され,エンドサイトーシスにより小胞(coated vesicle)中に取り込まれて細胞内に入る。取り込まれた小胞の膜にはH-ATPアーゼが存在し,この働きにより小胞内は徐々に酸性となる。続いてクラスリンが小胞から離脱し,小胞同士が融合してエンドソーム(endosome)と呼ばれるやや大きな小胞となる。この酸性小胞内でLDLとレセプターは解離して,LDLはリソゾームへ,そしてLDLレセプターはエンドソームから切り離されて細胞表面に現われる(recycling)。LDLレセプターは10~20分で細胞表面に戻り再利用されることになる。LDLレセプターの半減期が約24時間であるから,1分子のレセプターは約100回ほどLDLを細胞内に取り込むのに働いていることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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