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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻2号

1993年04月発行

特集 蛋白質の細胞内転送とその異常

ペルオキシソームへの転送異常:高蓚酸血症

著者: 市山新1

所属機関: 1浜松医科大学生化学第一講座

ページ範囲:P.135 - P.140

文献概要

I.原発性高蓚酸尿症
 肝臓でのセリン代謝には,セリンデヒドラターゼの作用を受けてピルビン酸になる経路と,ヒドロキシピルビン酸,D-グリセリン酸を経て2-ホスホグリセリン酸(解糖,糖新生の中間体,図1-A参照)に代謝される経路がある。マウスやラットではセリンデヒドラターゼの作用で始まる経路が主要セリン代謝経路であるが,この酵素の活性は動物の体表面が大となるに従い著しく低下する1)ので,ヒトを含むいくつかの大動物ではヒドロキシピルビン酸を経る経路の関与が大と推定される。
 グリオキシル酸(蓚酸の直接の前駆体)は水溶液中では主として水和型で存在することが知られている。そして,水和型グリオキシル酸の構造がヒドロキシピルビン酸に似ているためと思われるが,セリン代謝のヒドロキシピルビン酸経路に関与する2つの酵素がグリオキシル酸代謝においても重要な役割を果たしている。すなわち,この経路の最初の反応を触媒するセリン:ピルビン酸トランスアミナーゼ(SPT)は強いアラニン:グリオキシル酸トランスアミナーゼ(AGT)活性を持ち2)(本稿ではこの酵素をSPT/AGTと略す),第二の反応のD-グリセリン酸デヒドロゲナーゼはグリオキシル酸レダクターゼと同一酵素である(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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