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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻2号

1993年04月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

上皮小体―分泌機能調節因子としての血清Caと自律神経

著者: 江村正一1 正村静子1 磯野日出夫1

所属機関: 1岐阜大学医学部第1解剖教室

ページ範囲:P.146 - P.152

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 上皮小体は両生類以上の脊椎動物にみられる器官で動物種によってその位置,数および細胞の構造を異にする。たとえばヒトでは甲状腺の外側やや後方に,上下左右,合計4個存在し,組織学的に主細胞,酸好性細胞まれに水様透明細胞よりなるが1),著者らが主に使用しているハムスターでは外側に1対存在し,主細胞と時に出現する水様透明細胞(図1)からなり酸好性細胞は見られない2)。こうした上皮小体から分泌される上皮小体ホルモン(PTH)は,甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されるカルチトニンおよび活性型ビタミンDとならびCa調節ホルモンといわれている。そのうちPTHは骨,腎臓および腸に働きかけて血清Ca濃度を上昇させる作用を有する,最も強力な調節ホルモンである。
 上皮小体は血清Ca濃度の変化によって,直接に機能が調節される自己調節器官であることはよく知られており,人為的に血清Ca濃度を変化させることによる細胞小器官の動態について多くの研究がなされている。また,著者らは長年自律神経との関係について,形態学的に追及し続け満足しうる結果を得ており,最近ではCa代謝と重力との関係について,上皮小体の微細構造の変化を通して研究している。さらに下垂体からの上皮小体を刺激するホルモンの存在の可能性についても検討している。以下それらについて述べてみたい。なお,細胞所見の検討はすべて主細胞に関してのものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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