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実験講座
マイクロダイアリーシス
著者: 渡辺裕司1
所属機関: 1富山医科薬科大学和漢薬研究所
ページ範囲:P.153 - P.158
文献購入ページに移動 無麻酔・無拘束下に動物の行動を観察しながら脳局所から遊離される神経伝達物質や候補物質の量を測定し,行動と伝達物質の動的変化を同時に観ることは,行動生理あるいは薬理学に関わっている者にとってひとつの理想型である。今日まで,この理想に近づくためにいくつかの方法が試みられてきた。行動観察とともに,脳表面あるいは深部をカップあるいはプッシュプル・カニューレを用いて灌流し,灌流液中の内因性物質を機器分析により分離定量する方法と,活性炭素繊維を封入したガラス微小電極を脳局部に刺入し,電極下に遊離される内因性物質の電解電位を測定する方法などは代表的なものである。
脳に限らず,組織を灌流して得た灌流液中の微量の内因性物質を定量することは,分離技術に問題があったり測定機器の感度が低かったりしてかなり難しく,従来は目的とする物質ごとに解決法を考えるか,さもなければ放射性同位元素でラベルした物質を利用するしかなかった。しかし,近年,高速液体クロマトグラフによる分離分析技術が確立され,電気分解により酸化あるいは還元電位を発生する物質は電気化学的に高感度で測定できるようになったことから事態は一変した。すなわち,脳局所を灌流する方法は透析する方法に代わり,透析液の分析は高速液体クロマトグラフと電気化学検出器を組合せて行い,数~数十μlのサンプルから数種類の物質を一度に分離して定量することがごく普通にできるようになった1)。
脳に限らず,組織を灌流して得た灌流液中の微量の内因性物質を定量することは,分離技術に問題があったり測定機器の感度が低かったりしてかなり難しく,従来は目的とする物質ごとに解決法を考えるか,さもなければ放射性同位元素でラベルした物質を利用するしかなかった。しかし,近年,高速液体クロマトグラフによる分離分析技術が確立され,電気分解により酸化あるいは還元電位を発生する物質は電気化学的に高感度で測定できるようになったことから事態は一変した。すなわち,脳局所を灌流する方法は透析する方法に代わり,透析液の分析は高速液体クロマトグラフと電気化学検出器を組合せて行い,数~数十μlのサンプルから数種類の物質を一度に分離して定量することがごく普通にできるようになった1)。
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