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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻2号

1993年04月発行

文献概要

実験講座

光ピンセット

著者: 鈴木直哉1 木下一彦2

所属機関: 1名古屋大学理学部物理学教室 2慶感義塾大学理工学部物理学科

ページ範囲:P.159 - P.165

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I.光ピンセットとは?
 光ピンセットは,レーザー光のような強い光を,開口数の大きなレンズ(顕微鏡の対物レンズ等)で強く集光することにより,その焦点付近で物を非接触に捕まえる装置である。ビーズはもちろん,ウイルスから細胞まで,様々な物を捕まえることができる(波長1μmの赤外光レーザーを使えば,水や生体物質に吸収されないので,溶液中の細胞などを生かしたまま捕まえ続けることができる)。光ピンセットは,マイクロマニピュレーションや,分子モータータンパク質の力の測定などに利用されている1,2)
 なぜ光で物が捕まえられるのか?光の波長に比べて,捕まえる物の大きさがある程度以上大きい場合には,幾何光学の立場に立って,光の屈折から光ピンセットの捕捉力を説明することができる3)。図1Aに示すように,焦点の位置より少し外側の位置に球体を置いた場合を考える。光は,球体に入る時と,出る時の2回屈折し,その進行方向を変える。つまり,光には運動量が与えられたことになる。これの反作用として,同じ大きさで逆向きの運動量が球体には与えられる。そして,これらの合力は光の焦点の方向に向く。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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