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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻2号

1993年04月発行

文献概要

話題

神経特異抗原HPC-1は神経発芽に関係する

著者: 赤川公朗1 山口和彦1 中山孝1 井上明宏1

所属機関: 1生理学研究所神経化学部門

ページ範囲:P.166 - P.168

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 われわれは従来よりモノクロン抗体法を利用して,神経系の機能構築に関わると期待される未知の因子を探求してきた1-3)。HPC-1抗原はその過程で見つかった神経系特異抗原で,多くの種の成熟個体において中枢,末梢神経系を問わず広範に存在する機能不明の蛋白質であった4)
 最近,われわれはその構造を報告した5)。288残基よりなるHPC-1の推定アミノ酸配列にはC末端に疎水性の高い膜結合部位と考えられる領域がある。免疫電顕の結果などより,蛋白分子はC末で形質膜に結合し,それ以外の部分は細胞内にあることが分った6)。HPC-1はおもに神経細胞の軸索およびシナプス終末形質膜に存在し,樹状突起には認められない。初めHPC-1はまったく未知の分子であったが,われわれの報告5)とほぼ同時に発表されたepimorphin(EPN)という蛋白質がホモロジーを有することが明らかとなった7)。両者はアミノ酸配列で63%の同一性を有していた。その後,N型カルシウムチャンネルに結合する神経特異蛋白質syntaxin8)が報告されたが,そのアイソフォームの1つがHPC-1と同一であることが判明した。これらのことよりHPC-1/syntaxin/EPNはまったく新しい蛋白質ファミリーを形成していることが示された9)(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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