文献詳細
文献概要
話題
神経特異抗原HPC-1は神経発芽に関係する
著者: 赤川公朗1 山口和彦1 中山孝1 井上明宏1
所属機関: 1生理学研究所神経化学部門
ページ範囲:P.166 - P.168
文献購入ページに移動最近,われわれはその構造を報告した5)。288残基よりなるHPC-1の推定アミノ酸配列にはC末端に疎水性の高い膜結合部位と考えられる領域がある。免疫電顕の結果などより,蛋白分子はC末で形質膜に結合し,それ以外の部分は細胞内にあることが分った6)。HPC-1はおもに神経細胞の軸索およびシナプス終末形質膜に存在し,樹状突起には認められない。初めHPC-1はまったく未知の分子であったが,われわれの報告5)とほぼ同時に発表されたepimorphin(EPN)という蛋白質がホモロジーを有することが明らかとなった7)。両者はアミノ酸配列で63%の同一性を有していた。その後,N型カルシウムチャンネルに結合する神経特異蛋白質syntaxin8)が報告されたが,そのアイソフォームの1つがHPC-1と同一であることが判明した。これらのことよりHPC-1/syntaxin/EPNはまったく新しい蛋白質ファミリーを形成していることが示された9)(図1)。
掲載誌情報