特集 カルシウムイオンを介した調節機構の新しい問題点
新しいカルシウム結合蛋白質:ニューロカルシン(Neurocalcin)
著者:
岡崎勝男1
日高弘義1
所属機関:
1名古屋大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.228 - P.229
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ニューロカルシンは当教室で発見,精製された,中極神経系に豊富に存在している新しいカルシウム結合蛋白質である。当教室では,種々の新しいカルモデュリン阻害剤を合成し,カルモデュリンをはじめとするカルシウム結合蛋白の細胞機能制御機構を解明してきたが,その応用として,これら阻害剤をアフィニティリカンドとして用い,カルシウム依存性に溶出することで新しいカルシウム結合蛋白をいくつか発見してきた。ニューロカルシンは当教室で合成した新しいカルモデュリン阻害剤である,W-77((S)-P-(2-aminoethyl-oxy)-N-〔2-(4-benzyloxy-carbonylpiperazinyl)-1-(P-methoxybenzyl) ethyl〕-N=methylbenzene sulfonamide dihydrochloride)を用いたアフィニティクロマトグラフィを使って,ウシ大脳粗蛋白分画より得られた1)。
ニューロカルシンはTricine-SDS PAGE上で分子量23kDa,24kDaの2つに分かれ,さらにHPLC逆相カラムで2つずつに精製される。当教室ではウシ脳cDNAライブラリーより,2つのニューロカルシンのクローンを単離したが2),これらは精製された4つのアイソザイムとは異なっており,少なくとも合計6つのアイソザイムが脳内に存在していることになり興味深い。