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特集 細胞接着
心臓の発生とN-カドヘリン発現
著者: 高松哲郎1 白石公1 藤田哲也1
所属機関: 1京都府立医科大学第2病理学教室
ページ範囲:P.306 - P.312
文献購入ページに移動ところで,ヒトを含む脊椎動物の発生において形態学的な左右差は,もっとも早く心臓の原器(心臓管)に現れる。まっすぐであった心臓管(図1A)が,何らかの機序によって右に膨らみ心ループを形成する(図1B & C)。これによって右房・左房の位置が決まり,たとえばヒトでは右房側の肺は3葉に,左房側の肺は2葉に,肝臓が右,脾臓が左といった具合である。つまり,解剖学的な右房がどちらにくるかによってからだの右側は決定され,もし左にくればミラーイメージの個体となる。このことは,これまで幾分哲学的なニュアンスで語られてきたからだの左右の問題を,分子や細胞レベルで検討する足がかりを与えてくれる。
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