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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻4号

1993年08月発行

文献概要

解説

白血球接着分子CD11/CD18の糖鎖とその機能

著者: 浅田眞弘1 古川清2

所属機関: 1通産省工業技術院生命工学工業技術研究所細胞機能研究室 2東京大学医科学研究所細胞生物化学研究部

ページ範囲:P.374 - P.381

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 細胞と細胞の接着には,さまざまな分子が関与する。その中でも,白血球と血管内皮細胞の接着は,炎症反応や創傷治癒が正常におこるうえで重要な反応である。非常に速い血流にのった白血球が炎症部位を認識し,そこで血管内皮細胞に接着するためには,血流に抵抗できる強固な接着をつかさどる分子が必要である。免疫系細胞がもつ細胞接着分子には特異的なリガンドが存在し,これらの特異的な結合によって生体のみごとな免疫系ネットワークが形成されている。これまでに細胞表面の接着分子としてはカドヘリンファミリー,免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー,インテグリンファミリーが知られているが,これらに次いで,近年糖鎖を認識する接着分子群であるセレクチンファミリーが脚光を浴びてきた(表1)。
 われわれは,インテグリンファミリーに属する白血球接着分子CD11/CD18のアスパラギン結合型糖鎖の全構造を決定したところ,この分子はセレクチンのリガンドとなる糖鎖にとむ分子であることが明らかとなった。その結果,これまでに知られていないインテグリンとセレクチンとの間での分子間相互作用が示唆され,実際これらの分子間の結合を介して白血球と血管内皮細胞の接着がおこり得ることが示された。そこで以下,糖鎖に注目して接着分子について述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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