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リソソーム蛋白質の細胞内移行経路―エンドソームの関与
著者: 田中嘉孝1 姫野勝1
所属機関: 1九州大学薬学部生理化学教室
ページ範囲:P.382 - P.388
文献購入ページに移動 リソソームは酸性の細胞内小器官で,その中に含まれる一群の加水分解酵素により細胞外および細胞内物質の分解をその主要な機能としている。リソソーム蛋白質は,分泌蛋白質および細胞膜蛋白質と同様に粗面小胞体で合成され,trans-Golginetwork(TGN)と呼ばれるゴルジ複合体のトランス側の領域までは同じ経路をたどるが,ここで選別を受けた後別々の小胞に仕分けられ,それぞれリソソームあるいは細胞膜へと輸送される1)。リソソーム酵素の場合,生合成過程でその糖鎖上のマンノースのC6位がリン酸化されたマンノース-6-リン酸とその受容体(MPR)に依存する機構により選別輸送されると考えられている。そのため,リソソーム酵素の局在化経路に関する研究は,主にMPRの細胞内分布・動態の解析を中心に進展してきた。
一方,リソソームを構成する膜蛋白質は,リソソーム酵素とは異なる機構でリソソームに局在化する。リソソーム膜蛋白質が同定されまだ10年も経過していないにもかかわらず,その構造・移行経路・局在化機構に関する研究はめざましい進展を遂げている。本稿では,リソソーム膜蛋白質の細胞内移行経路に話を限定して最近の知見を紹介したい。
一方,リソソームを構成する膜蛋白質は,リソソーム酵素とは異なる機構でリソソームに局在化する。リソソーム膜蛋白質が同定されまだ10年も経過していないにもかかわらず,その構造・移行経路・局在化機構に関する研究はめざましい進展を遂げている。本稿では,リソソーム膜蛋白質の細胞内移行経路に話を限定して最近の知見を紹介したい。
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