icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻5号

1993年10月発行

文献概要

特集 現代医学・生物学の仮説・学説 1.細胞生物学

ストレス蛋白質

著者: 矢原一郎1

所属機関: 1(財)東京都臨床医学総合研究所

ページ範囲:P.436 - P.437

文献購入ページに移動
概説
 Ritossaは,キイロショウジョウバエ幼虫を高温にさらすと,多糸染色体のパフの出現位置が著しく変わることを発見した(1962)。当時,新しい細胞学の研究者は染色体の遺伝子発現とパフの出現が関係あるものと考えていたので,この発見は注目された。やがて,キイロショウジョウバエをはじめとする生物で,個体,組織そして細胞を高温やエタノール,遷移金属などの有害な物質にさらすと,数種類の新しい蛋白質の合成が誘導されることが見いだされた。これらの蛋白質がストレス蛋白質であるが,当時の実験では高温処理つまり熱ショックがもっとも使われたので,熱ショック蛋白質といわれていた。ちなみに,ストレス蛋白質HSP70やHSP90というのは,それぞれ分子量70,000と90,000のheat shock proteinという意味である。
 やがて,それぞれのパフがどのストレス蛋白質に対応しているかも明らかにされた(1970年代後半)。次いで,ストレス蛋白質の遺伝子発現を支配するプロモーター領域にあるcis-acting element(HSE)と,それに結合する転写因子HSFの研究が非常に盛んになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら