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特集 現代医学・生物学の仮説・学説 3.発生・分化・老化
細胞老化
著者: 飯島幹雄1 難波正義1
所属機関: 1岡山大学医学部分子細胞医学研究施設細胞生物学部門
ページ範囲:P.506 - P.507
文献購入ページに移動概説
細胞の老化研究は,HayflickとMoorhead1)が培養されたヒト正常細胞は一定の分裂寿命を示すことを報告してよりにわかに盛んになった。このin vitroでの細胞老化は,生体の老化現象の一面を反映しているデータも報告されている2)。そして.細胞のこの有限増殖性(細胞老化)は遺伝的にプログラムされているという考えが,下に述べる事実より現在は支配的である。すなわち,ウェルナー症候群のような早老症患者由来の線維芽細胞の分裂回数が少ないこと,老化細胞のmRNAを若い細胞にマイクロインジェクションすると若い細胞のDNA合成が阻害されること,老化細胞と若い細胞との融合細胞では老化形質が現われること,さらに特定のヒト染色体を不死化したヒト細胞へ導人すると老化形質が発現することなどは,ヒト細胞の老化が遺伝的に支配されていることを示している。
細胞の老化研究は,HayflickとMoorhead1)が培養されたヒト正常細胞は一定の分裂寿命を示すことを報告してよりにわかに盛んになった。このin vitroでの細胞老化は,生体の老化現象の一面を反映しているデータも報告されている2)。そして.細胞のこの有限増殖性(細胞老化)は遺伝的にプログラムされているという考えが,下に述べる事実より現在は支配的である。すなわち,ウェルナー症候群のような早老症患者由来の線維芽細胞の分裂回数が少ないこと,老化細胞のmRNAを若い細胞にマイクロインジェクションすると若い細胞のDNA合成が阻害されること,老化細胞と若い細胞との融合細胞では老化形質が現われること,さらに特定のヒト染色体を不死化したヒト細胞へ導人すると老化形質が発現することなどは,ヒト細胞の老化が遺伝的に支配されていることを示している。
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