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特集 現代医学・生物学の仮説・学説 5.神経科学
脳の性差と性ホルモン
著者: 新井康允1
所属機関: 1順天堂大学医学部第2解剖学教室
ページ範囲:P.560 - P.561
文献購入ページに移動性ホルモンが性ホルモン受容体含有ニューロン系のニューロン数,軸索や樹状突起の伸長,シナプス形成などを調節し,脳の発生過程における神経回路形成を制御していることが明らかになっている。このような性ホルモンのはたらきが,脳の機能的性分化や形態学的性差を生じさせる基礎になっている。
行動や神経内分泌調節にみられる脳の機能的性分化については,ラットなどの多くの実験動物の結果から,周生期の精巣から分泌されるアンドロゲンが脳にはたらくことによって,性行動や攻撃行動のパターンや下垂体前葉からのゴナドトロピン分泌パターンの性分化の決め手となることが明らかになされている。しかし,脳の性分化におけるアンドロゲンの役割については,精巣が分泌したアンドロゲンはそのままの形では作用せずに,ニューロン内で芳香化酵素のはたらきによってエストロゲンに転化して作用する場合が多い。その場合,アンドロゲンは一種のプロホルモンということになる。
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