icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻5号

1993年10月発行

特集 現代医学・生物学の仮説・学説

6.免疫学

抗原認識の機構

著者: 中島泉1

所属機関: 1名古屋大学医学部免疫学教室

ページ範囲:P.574 - P.575

文献概要

概説
 Jenner(1798)やPasteur(1878)によって発見された生体による抗原認識の物質的な基盤(抗体)を最初に示したのはBehringと北里(1890)であった。続いて,細胞がつくる側鎖(抗体)によって抗原を鍵と鍵穴の関係で認識するモデルが仮説としてEhrlich(1901)により示された。抗体による抗原認識の分子機構が明らかとなったのは,PorterとEdelman(1959)によって抗体の一次構造が解明された時である。一次構造の解明に続いてX線結晶回折のデータの解析(Schiffler,1973)などから抗体の立体構造モデルが示され,抗体による抗原認識における鍵と鍵穴の関係が実証された。
 抗体による抗原認識の分子機序が明らかにされる一方,1960年代に発見された2種類のリンパ球のうち,Bリンパ球の抗原レセプターが抗体であることがまず知られた。Tリンパ球の抗原レセプター(TCR)の本態については長い間,諸説があったが,1984年にその遺伝子が分離されて結論が出された(Hedrik & Davis;柳 & Mak,1984)。これより前,T細胞による抗原認識に主要組織適合(MHC)抗原が関与することが,その遺伝調節(Benacerrafら,1963)とMHC拘束(Zinkernagelら,1974)により示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら