icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻5号

1993年10月発行

文献概要

特集 現代医学・生物学の仮説・学説 6.免疫学

自己免疫

著者: 宮坂信之1 斎藤一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所ウイルス・免疫疾患研究部門

ページ範囲:P.582 - P.583

文献購入ページに移動
概説
 生体は自己に対して過剰な免疫応答をおこさない。このように調節している仕組みを免疫調節機構とよぶ。しかし,免疫調節機構に異常が生ずると,自己の成分に対して抗体を産生したり,あるいは感作リンパ球が出現することとなる。このような状態を自己免疫という。Ehrlichは自己免疫によって個体が滅びることを「Horror autotoxicus」とよんだ。そしてBurnetは有名なクローン選択説において,自己に反応するクローンは「禁止クローン」として消去されてしまう,とした。一方,自己免疫現象によって病的状態が生じた場合には,自己免疫疾患とよんだ。
 生体が自己の成分に対して無反応であることを『寛容』(トレランス)という。寛容が成立する機序として,自己反応性クローンの除去(clonal deletion),麻痺(paralysis,anergy)などがある。このような寛容状態が何らかの刺激により破綻すると,自己免疫がおこることになる。現在,寛容の形成機序については精力的に検討が行われており,この機序の解明は自己免疫疾患の予防,治療につながるものと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら