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特集 現代医学・生物学の仮説・学説 6.免疫学
移植免疫
著者: 岡隆宏1 吉村了勇1
所属機関: 1京都府立医科大学第二外科
ページ範囲:P.584 - P.585
文献購入ページに移動主要組織適合抗原系:移植免疫の発現には組織適合抗原(histocompatibility antigen=移植抗原)が重要な役割を担っている。移植抗原を規定する組織適合遺伝子座は単一ではなく,マウスでは現在少なくとも30以上の遺伝子座があり,それぞれ移植抗原を支配している。さらに,このなかで強く移植抗原を支配する遺伝子座が1つだけ存在し,これを主要組織適合性抗原系(major histocompatibility system)といい,これを支配する遺伝子領域を主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex:MHC)とよんでいる。
ヒトのMHCであるHLA抗原は,白血球膜抗原として発見された。現在では,クラスⅠ,Ⅱ抗原に分類され,クラスⅠ抗原はキラーT細胞の誘導に,クラスⅡ抗原は細胞間相互作用,抗原認識の拘束分子として重要なはたらきを担っている。クラスⅠ抗原にはHLA-A,-B,-Cが,クラスⅡ抗原にはHLA-D,DR,DQ DPの各抗原が知られており,最近ではDNAタイピングなど遺伝子レベルでの検討がなされてきている。
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