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文献詳細

雑誌文献

生体の科学44巻6号

1993年12月発行

文献概要

特集 滑面小胞体をめぐる諸問題

SERとバゾプレシンの作用

著者: 石川三衛1

所属機関: 1自治医科大学内分泌代謝科

ページ範囲:P.670 - P.673

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 アルギニンバゾプレシン(AVP)は,腎集合尿細管細胞においてV2受容体を介してcAMP産生を惹起し,管腔側からの水の透過性を亢進させる。一方,血管平滑筋細胞や腎糸球体メサンギウム細胞ではV1受容体を介してイノシトールリン脂質の代謝回転を促進して,イノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)の産生を惹起し,細胞内遊離カルシウム([Ca2+i)とプロテインキナーゼCの活性化を引き起こして細胞の収縮をもたらす。このように,AVPは標的細胞のV1またはV2受容体いずれかに結合後,その作用を発現する。
 近年,V1,V2受容体がクローニングされ,構造が明らかになった1-3)。V1受容体は394個(分子量44202),V2受容体は370個(分子量40518)のアミノ酸より成り,いずれも細胞膜を7回貫通する典型的なG蛋白結合受容体である。両者のホモロジーは60%と高い。V2受容体をもつ集合尿細管細胞でもAVPが[Ca2+iを動員することが明らかとなり4,5),V1・V2受容体の分布と受容体以降の細胞内情報伝達系との連関が話題になっている。本稿では,[Ca2+iの動員の細胞内プールである小胞体(ER)とAVPの関係を上記のV1,V2受容体をもつ細胞において論ずる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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