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特集 グルコーストランスポーター
糖輸送体:GLUTファミリーとSGLTファミリー
著者: 笠原道弘1
所属機関: 1帝京大学医学部物理学教室
ページ範囲:P.2 - P.8
文献購入ページに移動 グルコースは動物細胞にとって最も重要な代謝基質の1つである。多くの代謝物質の材料となるばかりでなく,エネルギー変換反応の出発点となる。個々の組織や器官において,それぞれの環境と果たすべき役割に応じてグルコース代謝活動はさまざまである。そのことに対応して細胞外から細胞内に取り込む過程である細胞膜上の糖輸送活性も多様である。近年の分子生物学や細胞生物学の新しい手法を用いた糖輸送体の研究の急速な発展により,多くの新事実が明らかにされた。とくに,糖輸送体の分子機構,各組織や器官での特有な性質を担う各種の糖輸送体の同定,免疫学の手法による局在性の研究,発現の調節,原核細胞から真核細胞に広く存在するスーパー・ファミリーであることの認識など,ここ数年の研究の発展は爆発的ともいえる。発表される論文の数もうなぎのぼりで,多くの点で明瞭な像が浮かびあがりつつあるが,細かな点では一致していないことも多い。研究の進展にともない,糖輸送体を扱った総説も1990年以来のものだけでも20以上あり,多岐にわたる研究分野をカバーしている1-25)。
本総説では動物細胞に存在する2つのタイプの糖輸送体:促進拡散系糖輸送体とNa+/グルコース共輸送体の概略を述べ,それぞれ相同な輸送体が原核細胞から存在するスーパー・ファミリーを形成していることに言及する。
本総説では動物細胞に存在する2つのタイプの糖輸送体:促進拡散系糖輸送体とNa+/グルコース共輸送体の概略を述べ,それぞれ相同な輸送体が原核細胞から存在するスーパー・ファミリーを形成していることに言及する。
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